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整理がつく人

#023 整理がつく人

 

【質問者】

ニュースを聞いて、自分の中で起こった問題の後の処理はどうしたらいいでしょう?

 

【老師】

だから自分の中がスッキリしたらいいんでしょう。

 

【質問者】

自分に起こってしまった問題はどうすればいいでしょうか?

 

【老師】

何が問題になったんでしょうね。そういうものを聞いたときに、自分の中で。

 

【質問者】

何が…、命を絶たれた方に…、かわいそうと一言で言ってしまったら悪いですが…

 

【老師】

同情してあげたら、自分の中がスッキリするのかしら?

 

【質問者】

同情しているわけではないですが、痛みみたいなものが…、例えば親御さんのお気持ちとか、残った人の気持ちとか…、怖さというか、そういう人が世の中に組み込まれて生きているってこともあるし…、もちろん自分の中で湧いてくるものですが、自分の中でスッキリさせる方法がないような気がします。

 

【老師】

だけど、こんなことを感じませんか?

そういうニュースを聞いて、いろんなこと自分が思ってるときがあるんだけど、そのこをと念頭に思い起こしていないときは、何を処理するのでしょう?自分の中で。

 

【質問者】

そう思ったあとに違うことを考えている自分を発見して、自分はなんと薄情なんだろうと思ったりすることは、よくあります。

 

【老師】

だから、何を問題にしてるかって言うと、自分が思った思いを問題にしているってことが、よくわかるでしょう。

自分の中で思い起こした思いが、自分を苦しめているんですよね。

スッキリさせないようにしている。

 

【質問者】

はい。確かにそうですね。

 

【老師】

ものすごい残酷なことのように思うかもしれないけど、そういうことを自分の中に思い起こしてないときには、かわいそうだとか、ひどいことをするとか、なんだあの人はとか、もっとこうあったらいいとか、一切そういことは起きないんだよね。

それじゃいけないのかって言ったら、そんなことはない。

 

【質問者】

虐待の問題とかそういのが目に入るのがいやで、もうニュース見ないでおこうとか、新聞も読まないでおこうっていう動きが自分の中にここ最近あるんですが…

 

【老師】

見ないようにする、聞かないようにするということよりも、そういうことに対して、自分の分別で取り扱わないで、ふれて見るとよくわかるじゃない?

 

【質問者】

湧いてきた感情を、そのときのものだけにしておくという…

 

【老師】

なんで魚屋さんの前をとおったときに、ピンピン跳ねてる魚をシャーッと切って、こうやってジーっと見て、お金出して買ってくるんだろうかね?

人間てすごい動物ですよね?

頭の中でこれは人じゃないからって位置づけるのかね?

木だってそうじゃん、バサッと切って、人間の手足を切るようなもんでしょう?

だけどあれは植物だからって、みんなそうやって位置づけて、自分を納得させてるんでしょう?

やってることは、ほとんど変わらない、ひどいことをしてるわけでしょう?

 

【質問者】

それに心を動かしていたら、もう身が持たないですよね。

 

【老師】

だから、考え方を離れると、こうやって生活がちゃんとできるわけでしょう?

一切の生き物ってさ、おたがいに食べっこしてる、生きていくために、弱肉強食とは言わないけど。

全ての生命が生き続けていくためには、そういうシステムになっている。

 

だから、いま田んぼに農薬が撒かれるから、虫が育たない。

あるいは畑に牛や馬や鶏や、ああいうものの排泄物を肥料に撒いても、その中にお薬が入ってるから蛆がわかない、蚊が発生しない、蠅が発生しない、だから鳥がいなくなる。

雑草が生えないようにするもんだから蜜蜂が育たない、蜜蜂が育たないもんだから、果物が十分に生らなくなった、交配ができない。

だから、どこか一角が崩れると非常にバランスが悪くなってくる。

生命ってそういう風になっている。

 

私だけじゃないんだね、生命って、まるごとなんですね、自分の命って。

これだけ(体のあたりに手をやり)じゃ絶対、養えない。

全てのもを命として生きているんです、お互いが。

 

それで人間のような酷い考えを持たない動物を見てごらんなさい、

腹いっぱいになったら、そこに何匹いようが殺して食べないよ。

ああいうのを学ぶべきなんだろうと思う。

人間は蓄えることを知ってるもんだから、今日食べなくても一週間の蓄えのために…、それで一週間の蓄えのつもりで取っといて、結局は食べなくて捨てるとかねぇ。(笑い)

ものすごい無駄なことをいっぱいして、いじめてるよね。

他の生き物って、そんな無残なことしない。

自分が食べたあと残ったら、他のものに全部譲るよね、最後はほとんど何もないくらいになっちゃうもんね、綺麗に解体されて、あんなに綺麗に食べつくすよね。(笑い)

 

モンゴルの騎馬民族なんか、馬なんかの処理を見ると、大地に一滴の血も落とさないっていうくらい、綺麗に一頭の馬を処理するじゃない。

ああいうのは、すごいなぁ。

 

どこで違うのだろうね、殺すっていうのと。

殺すっていうと、すごくグサッと来るんだけども、食料のために解体しているの見ると…。

だから人間の考え方って、本当に自分をよくわからなくするね。

 

なんともなく、孤島に行ってそこにいる動物を食料にするような体験学習があるじゃないですか?そこで生活できる人とできない人は、目の前に走ってる鳥を捕まえて、それをさばいて、今日の夕食だって言われた時に、ここに(頭を押さえて)よぎった人は食べられないよね。

生きてたものを自分がいま殺して、これを食べるのかって思ったら…。

でも、いよいよ腹が減って来て、どうしようもなくなると、人間はそういう考え方を止めて口に入れるのでしょう。(笑い)

 

考え方を離れると、本当にいろんな生き方をできるよね。

考え方が人を苦しめるって、そういうので、ようくわかる。

 

で、悪いことをするのも考え方が中心ですからね。

むやみやたらに、そこらにいるものを殺そうっていうことはないですよ人間、ゴキブリが這っていても、蚊が飛んできても。

一応、大義名分を立てないと、ピシッとやれないんだよ。(笑い)

 

腹を立てるんだって、腹を立てる前には、ちゃんとした裏付けがある、自分のなかで。

むやみやたらに腹は立たない。

その一番、原動力になるのは考え方ですよ。

自分の中で起こした考え方が、次の行動を起こす。

そういうものが無いときには、このまま平気で、こうやっていられる。

それじゃいけないかって?そんなことはないでしょう。

 

本当にこの自分の中で、考え方を起こしたものが自分で整理がつかないと、これが滅茶苦茶になるだけですよ。

他に問題があるんじゃないですよ。

 

そういう人が、たくさん増えてくれば世の中、幸せになる、平和になるでしょう。

自分の問題が、自分のなかでちゃんと整理がつくような人が増えれば。

 

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